まず最初に、計算力学講座は学術情報メディアセンター北館にあります。広大なスペースを情報系の2講座と共有しています。是非訪問してみてください。
皆さんは何を基準に研究室を選ぶのでしょうか?研究内容、教官、学生の雰囲 気、院試対策など色々考慮することだろうと思います。ここで少し我が計算力学研究室の紹介をさせていただきます。
研究内容
構造物の力学が成熟した現在、通常の使用状態で土木構造物が壊れることはま ずありません。ですから、阪神大震災のような特別な状況でもない限り、構造 物がたとえば梁の真ん中からぽっきりと折れるような壊れ方をすることはまず あり得ません。構造物が破壊するならば、なんらかの欠陥があって、それが引 き金になっているはずです。ですから、構造物の破壊を考える場合、皆さんが 習った構造力学の様な解析はあまり役に立たず、クラックのような欠陥の存在 を考慮した詳細な力学解析(たとえば破壊力学等です)を行うことが必要になり ます。ところが、詳細な解析を行うためには手計算はあまりにも無力です。そのた めに、計算機の助けを借りる力学、すなわち計算力学を使います。一方、構造 物が欠陥を有しているかどうか、あるならばどんな欠陥があるのか調べること が重要であることも理解して頂けると思います。その為の手法として非破壊評 価があります。このような認識から、当研究室では中心的な研究テーマを計算 力学と非破壊評価とに据えています。
計算力学においては、特に境界積分方程式法(いわゆ る境界要素法)の研究に取り組んでいます。最近の主な関心は超大型問題 の高速解法、逆問題への応用、構造音響問題への適用などです。非破壊評価の 研究においては、超音波を用いた構造物内の欠陥の検出を行なっており、これ は逆問題の計算力学的研究ともlinkしています。以下、もう少し具体的に述べ ます。
一方、ウェーブレット積分方程式法とは、先ほど積分方程式を代数方程式で近
似すると言いましたが、その得られる代数方程式の行列成分が、殆んど0ばか
りになるような工夫をする手法です。
研究室の生活(4回生版)
研究室行事
最後に
構造力学、水理学、地盤工学などで学んだ力学の問題をより精密に解きたい場
合、計算機を用いたシミュレーション、すなわち計算力学の手法が威力を発揮
します。そのような計算力学の手法の一つとして境界積分方程式法(境界要素
法)があります。この方法は元の力学の問題を一旦積分方程式に変換し、これ
を数値的に解くものです。積分方程式を数値的に解くときには、通常これを線
形連立方程式によって近似して解くことになります。しかし、その際導入され
る未知数の数(N)が多数ある場合、計算量が増え、計算時間も長くなります。
実際,差分法,有限要素法などによる解法では,得られる連立方程式がバンド
行列になるのに対し,積分方程式の行列は密行列になります.このため、
これまでの積分方程式法の解法はNの3乗に比例する計算時
間を要していました。この計算時間をN *(log(N)の何とか乗)程度に短縮する
画期的な解法が多重極法や
ウェーブレット積分方程式法です。当研究室は,特に多重極法
を中心に研究を進めています.多重極法を一言で説明するのはちょっと難しい
のですが(簡単な解説はここにあります)、皆さんは新聞
や科学雑誌などで、宇宙の多数の天体の運動を一挙に解析した例が時々紹介さ
れているのを見かけたことはないでしょうか。あれが多重極法だと思って大き
な間違いはありません。多重極法は天文学だけではなく、積分方程式法や分子
動力学などの分野でも利用されています。むしろ,多重極法は積分方程式法の
解法として誕生しました.現在、我々の研究室では多重極法の積分方程式法へ
の適用に関して研究しており、ラプラス方程式、ヘルムホルツ方程式、静弾性
学、動弾性学などへの適用に成功しています。この様な手法を用い,1台の
desktop 計算機で,現在未知数が百万程度の問題まで解けています。さらに未
知数が多い問題でも解くことは可能です。また、スーパーコンピュータやAlpha
Chipを搭載した計算機クラスタを用いた並列計算も行なっています.我々の
最近の研究はここを御覧下さい.
構造物が想定される荷重に耐え、機能を果たし得るかどうか検査したい場合に、
一番確実なのは実際にその構造物を破壊して見ることでしょうが、それでは元
も子もありません。ですから構造物を破壊せずに検査する手法、すなわち非破
壊検査が重要になります。特に、構造物の内部に欠陥があるかどうか、またあ
るならば形状、個数、位置はどのようになっているのかを特定することは、土
木構造物に限らず、機械、航空機、船舶など様々な工学の領域における関心事
であり、そのための手法を確立することは構造物の寿命や適切な補修方法を決定
するために重要であると言えます。当講座では欠陥の決定のための超音波とレー
ザを用いた実験を行ない、これと平行して境界要素法を用いたシミュレーショ
ンや逆問題の解法の研究を行っています。我々の最終目標は、クラックなどの
欠陥のある物体に超音波を照射し、レーザドップラ振動計を用いて散乱された
超音波を計測して、得られたデータから欠陥の形状を決定する計測システム
とソフトウエアを開発することです。このためには,まずレーザ計測結果から
照射された超音波の性質を決定することから始めなければなりません.
当研究室では超音波トランスデューサから発生する超音波を決定する事に成功し,
現在,欠陥形状決定逆問題を中心に研究を進めています。
自動車や鉄道の騒音、及び、交通による構造物の振動による騒音の解析は、環
境問題への関心の高い今日においては工学的にも重要です。当講座では、はり、
シェル、板などの構造要素によって発生する音場を解析する簡便な方法に関し
て研究しています。一般には構造物は形状が多様であり、サイズは有限である
ためその動的解析には皆さんもすでに学んだ有限要素法が適していると考えら
れます。一方、音場の解析においては、音が伝わってゆく空気の領域は大きな
広がりがあり、その場合境界要素法の使用が有利と考えられます。当研究室で
は、これらの手法を結合して構造物-音場系の解析を行なっています。また、
このような手法の、いわゆる低周波空気振動の解析や、その制御などへの応用
を検討しています。更には上述の多重極法によって空気振動の解析を効率化する
研究も行なっています.
計算力学研究室では、前期にゼミが行なわれます。ここで弾性力学の基礎を学
んで頂きます。絶対参加。しかし前期の拘束はこの週1〜2回のゼミのみなの
で院試を受ける人には、十分勉強する時間はあります。これが終るのが大体7
月頃です。この頃には就職する人もひと段落ついているでしょう。
研究室旅行はここ数年はありませんでした。今年はやります。8月の始めには
院試がありますね。計算力学研究室の所属で進学する人は、社会基盤工学専攻の院試
を受けることになります。普通にやっていた人は受かり、勉強しなかった人は落ちる、
ただそれだけです。
卒論を始められるレベルに達するためには少しばかり勉強をしなければなりま
せん。結局、卒論を始めるのは早くても10月頃からになります。これから卒
論締切まで指数関数的に忙しくなります。ちゃんとやればの話ですが... ただ、
ちゃんとやった人は、卒論が終ったころには、多重極法を考えた Rokhlin と
か Greengard とか言った世界のトップを走る天才たちの背中が見える位のと
ころまでは来る事が出来るでしょう(ほんまかいな...)。
新入生歓迎コンパ(4月下旬)
土木球技大会(6月〜7月)
研究室旅行(院試明け---あれば...)
卒論・修論突入コンパ(10月上旬---あれば...)
忘年会(12月下旬---あれば...)
新年会(1月中旬---あれば...)
卒論締め切り(2月上旬)
追い出しコンパ(3月下旬---あれば...)
計算力学研究室は、ボスの西村先生を筆頭に、個性豊かなスタッフ・学生達で構成されてい
ます。自由に毎日、好きな研究に励みたい方や、本当の計算機のプロを目指す
人々、数理的な事に関心のある人には、ぴったりの研究室です。
これを読んで少しでも興味を持った人は是非一度研究室まで足を運んで下さい。
学術情報メディアセンター北館(旧大型計算
機センター)二階北側です。