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トラスの問題を解く事の意味

そもそも``トラスの問題を解く''とはどういうことなのかを 明らかにしておこう.トラスの問題を解くとは,
1.
力については,つりあい系であって,力に関する境界条件 を満たす.
2.
変形については,適合系であって,変位に関する境界条件を満たす.
3.
部材力とのびについては,構成関係を満たす.
の全てを満たす $\mbox{\boldmath$F$ }$N $\mbox{\boldmath$u$ }$$\delta$ を求める事,である. ここで,次の二つの用語を定義しておく. この二つの用語は以下で頻繁に用いるので,よく噛みしめておいてほしい.

例題 4
Fig 1.9 に示すトラスの静力学的に許容な部材力 N を求めよ
  
Figure 1.9: 静定トラス
\begin{figure}
\begin{center}
\leavevmode
\epsfxsize=10cm
\epsffile{fig1-10.ps}
\end{center}\end{figure}

力の境界条件が与えられているのは節点 2 のみであるから,まず,これに 着目してつりあい式を求める.すなわち,

\begin{eqnarray*}\mbox{\boldmath$F$ }_2 = \left(\begin{array}{c}
1/\sqrt{2}\\ -...
...ight) N_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle2$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}
\end{eqnarray*}


である.あとは,境界条件を満足させればよい. 便宜上,上の式を行列で表現して, 境界条件 (F12, F22)=(0, -P) を考慮すると,

\begin{eqnarray*}\left(\begin{array}{c}
0\\ -P
\end{array}\right)
= \left(\begi...
...hfill$\scriptstyle2$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}
\end{array}\right)
\end{eqnarray*}


となる.これを解けば,

\begin{eqnarray*}\left(\begin{array}{c}
N_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle1$\hfil...
...eft(\begin{array}{c}
P/\sqrt{2}\\ P/\sqrt{2}
\end{array}\right)
\end{eqnarray*}


となる.こうして,静力学的に許容な部材力が求められた.

例題4からわかるように,静力学的に許容な部材力を求める'' ということは,``トラスの部材力を力のつりあいから求める''ということである.

例題4では,力のつりあいだけから部材力が唯一に定まった. これはこのトラスが静定構造であるためである.一般に, ``静定構造(トラス)とは静力学的に許容な部材力が一意で ある構造(トラス)''である.他方,次に示す例題5 は不静定構造(トラス)の場合である.``不静定構造(トラス)とは 静力学的に許容な部材力が一意でない構造(トラス)''である,ということが わかるであろう.

例題 5
Fig 1.10 に示すトラスの静力学的に許容な 部材力 N を求めよ
  
Figure 1.10: 不静定トラス
\begin{figure}
\begin{center}
\leavevmode
\epsfxsize=10cm
\epsffile{fig1-11.ps}
\end{center}\end{figure}

力の境界条件が与えられているのは節点 2 だけである. まず,この節点に関する力のつりあい式を立てて,それに力の境界条件 (F12, F22)=(0, -P) を考慮すれば,静力学的に許容な部材力が求められる. すなわち,

\begin{eqnarray*}\mbox{\boldmath$F$ }_2 = \underbrace{\left(
\begin{array}{c}
1...
...gcirc$ }}
= \left(
\begin{array}{c}
0 \\ -P
\end{array} \right)
\end{eqnarray*}


である.この関係を満たす $(\mbox{\boldmath$F$ }, N)$ が静力学的に許容である. ここで,未知数が 1 つ含まれていることに注意されたい. この未知数を不静定力といい,不静定次数は 1 であるという. また,このトラスを 1 次の不静定トラスという. 一般に,``静力学的に許容な $(\mbox{\boldmath$F$ }, N)$ が含む独立な未知数の数は 不静定次数に等しい''と言える.

後々の都合上, $N_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle3$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}$ を未知数のままとして, $N_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle1$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}$ $N_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle2$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}$ を求めておこう.すなわち,

\begin{eqnarray*}\left( \begin{array}{cc}
1/ \sqrt{2} & -1/ \sqrt{2} \\
-1/ \sq...
...3$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}\right) / \sqrt{2}
\end{array} \right)
\end{eqnarray*}


となる.

次に,幾何学的に許容な $(\mbox{\boldmath$u$ }, \delta)$ を求めてみよう.

例題 6
Fig 1.9 の幾何学的に許容な $(\mbox{\boldmath$u$ }, \delta)$ を求めよ.

適合系であるためには,各部材が式(5)の関係,すなわち

\begin{eqnarray*}\delta_{I}=\sum_i\mbox{\boldmath$n$ }_{iI}\cdot\mbox{\boldmath$u$ }_i
\end{eqnarray*}


を満足しなくてはならない.つまり,

\begin{eqnarray*}\delta_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle1$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}...
...scriptstyle2$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}\cdot\mbox{\boldmath$u$ }_3
\end{eqnarray*}


でなくてはならない.幾何学的に許容であるためには, 変位の境界条件 $\mbox{\boldmath$u$ }_1, \mbox{\boldmath$u$ }_3={\bf0}$ を満足させればよいから,

\begin{eqnarray*}\left(\begin{array}{c}
\delta_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle1$\...
...t)
\left(\begin{array}{c}
u_{12}\\
u_{22}\\
\end{array}\right)
\end{eqnarray*}


が幾何学的に許容なのびである.

さらに計算を進めて, $\mbox{\boldmath$u$ }_2$ を求めてみよう. $\delta_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle1$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}$ $\delta_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle2$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}$ は,既に求めた部材力 $N_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle1$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}$ $N_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle2$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}$ からそれぞれ,

\begin{eqnarray*}\delta_{\ooalign{ \hfill$\scriptstyle1$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}...
...$\scriptstyle2$\hfill\crcr$\bigcirc$ }}=\frac{P\ell}{\sqrt{2}AE}
\end{eqnarray*}


と計算されるので,

\begin{eqnarray*}\mbox{\boldmath$u$ }_2=\left({u_{12}\atop u_{22}}\right)
=\left({0\atop -P\ell/AE}\right)
\end{eqnarray*}


と求まる.

Ken-ichi Yoshida
2001-04-18