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不静定トラスの解法

仮想仕事の第二の応用として,不静定トラスの解法について述べる. その手順は以下の様である.
1.
与えられた荷重の下に,静力学的に許容なつりあい系を求める. このとき,部材力が未知の不静定力を含んだ形で書かれる.
2.
1.で求められた部材力に構成関係を用いて部材ののびを 計算する.これと節点変位を合わせたもの $(\mbox{\boldmath$u$ }, \delta)$ は 幾何学的に許容でなければならない.
3.
外荷重が 0 のつりあい系を作り, $(\mbox{\boldmath$F$ }^*, N^*)$ とする.
4.
3.の $(\mbox{\boldmath$F$ }^*, N^*)$ と2.の $(\mbox{\boldmath$u$ }, \delta)$ との 間に仮想仕事の原理を書き下すと不静定力が求まる.
一般に,3.の $(\mbox{\boldmath$F$ }^*, N^*)$ の系は不静定次数個だけ 独立にとることができる.このことから,全ての不静定力を 求めることができる.
例題 12
Fig 1.33 のトラスの部材力を決定せよ.
  
Figure 1.33: 断面積 A,Young率 E
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=6cm
\epsffile{fig2-24.ps}
\end{center}\end{figure}

1.
静力学的に許容な真のつりあい系を求める.すなわち, 荷重の与えられた中央の節点におけるつりあい式を立てる. ここでは,中央の部材の部材力を不静定力として,それを n と 表す(Fig 1.34 ).
  
Figure 1.34:
\begin{figure}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig2-25.ps}
\end{center}\end{figure}

2.
1.の部材力と構成関係より,部材ののびを求める(Fig 1.35 ).

\begin{eqnarray*}\delta_1 = \delta_2 = \frac{(P-n) \ell}{\sqrt{2} AE}, \quad\quad
\delta_3 = \frac{n \ell}{\sqrt{2} AE}
\end{eqnarray*}



  
Figure 1.35:
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig2-26.ps}
\end{center}\end{figure}

3.
外荷重 P を 0 とした時の仮想のつりあい系をつくる. これは1.で求めた真のつりあい系に対して,P=0n=1 と すればよい(Fig 1.36 ).
  
Figure 1.36:
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig2-27.ps}
\end{center}\end{figure}

4.
2.で求めた $\delta$ が適合系ならば,任意のつりあい系 $(\mbox{\boldmath$F$ }^*, N^*)$ との間に仮想仕事が成立しなければならない. したがって,3.で求めた $(\mbox{\boldmath$F$ }^*, N^*)$ を荷重が 0 の つりあい系に選んで仮想仕事を適用すれば,不静定力が求まる.

\begin{eqnarray*}\sum_i\mbox{\boldmath$F$ }_i^*\cdot\mbox{\boldmath$u$ }_i&=&\su...
...ell}{\sqrt{2}AE}\\
∴\quad n &=& \frac{P}{1+\frac{1}{\sqrt{2}}}
\end{eqnarray*}


例題 13
Fig 1.37 のトラスの部材力を決定せよ.
  
Figure 1.37: 断面積 A,Young率 E
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=6cm
\epsffile{fig2-28.ps}
\end{center}\end{figure}

1.
部材力を決定する.ここでは,中央の部材の部材力を 不静定力 n とする(Fig 1.38 ).
  
Figure 1.38:
\begin{figure}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig2-29.ps}
\end{center}\end{figure}

2.
1.の部材力と構成関係よりのびを求める(Fig 1.39 ).

\begin{eqnarray*}\delta_1 = \frac{(P-n) \ell}{\sqrt{2} AE},\quad\quad
\delta_2 =...
...l}{\sqrt{2} AE},\quad\quad
\delta_3 = \frac{n \ell}{\sqrt{2} AE}
\end{eqnarray*}



  
Figure 1.39:
\begin{figure}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig2-30.ps}
\end{center}\end{figure}

3.
外荷重を0として,仮想のつりあい系を一つ決定する(Fig 1.40 ).
  
Figure 1.40:
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=5cm
\epsffile{fig2-31.ps}
\end{center}\end{figure}

4.
2.の適合系と3.のつりあい系に仮想仕事を適用する.

\begin{eqnarray*}\sum_i \mbox{\boldmath$F$ }_i^*\cdot\mbox{\boldmath$u$ }_i &=& ...
...es
\left(-\frac{(P+n)\ell}{\sqrt{2}AE}\right)\\
∴\quad n &=& 0
\end{eqnarray*}


なお,n=0 は明らかである.実際,トラスを紙面の裏側から 見ることにより P が左向きに作用した時の中央の部材の 部材力も n であることがわかるが,一方,P が左向きに 作用するということは右向きに (-P) 作用するということで あるので,問題の線形性から中央の部材の部材力は (-n) で なければならない.よって,n=-n より n=0 となる.


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Ken-ichi Yoshida
2001-04-18