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単位荷重法による変位の求め方(不静定トラスの場合)

単位荷重法は不静定トラスであっても用いることができる. 実際,静定トラスの場合には部材力が力のつりあいだけから 求められるというだけで,不静定トラスにおいても部材力を 求めた後ならば,静定トラスの場合と同様な手順で単位荷重法を適用できる. ただし,仮想のつりあい系を計算の手間を減らすように``上手に'' 選んでやることが肝心となる.不静定トラスの場合の単位荷重法の 手順は以下の通りである.
1.
不静定構造を解いて,不静定力を決定する. これより真の部材力が求まる.
2.
真の部材力に構成関係を用いて真ののびを決定する.
3.
変位を求めたい点に,求めたい方向へ大きさ 1 の荷重を かけた時の静力学的に許容な部材力を求める(これが仮想のつりあい系).
4.
上記1.と2.に仮想仕事を使う.

例題 14
Fig 1.41 のトラスの荷重点の x2 方向の変位を決定せよ.
  
Figure 1.41: 断面積 A,Young率 E
\begin{figure}
\begin{center}
\leavevmode
\epsfxsize=6cm
\epsffile{fig3-01.ps}
\end{center}\end{figure}

1.
真の部材力を決定する.これは前の例題のように求めればよい (Fig 1.42 ).
  
Figure 1.42:
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig3-02.ps}
\end{center}\end{figure}


\begin{eqnarray*}N_1 = N_2 = \frac{P}{\sqrt{2}\left( 1+\sqrt{2} \right)},\quad\quad
N_3 = \frac{\sqrt{2}P}{1+\sqrt{2}}
\end{eqnarray*}


2.
1.の部材力と構成関係よりのびを求める(Fig 1.43 ).
  
Figure 1.43:
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig3-03.ps}
\end{center}\end{figure}


\begin{eqnarray*}\delta_1 = \delta_2 =
\frac{P\ell}{\sqrt{2}\left( 1+\sqrt{2} \...
...quad\quad
\delta_3 = \frac{P \ell}{\left( 1+\sqrt{2} \right) AE}
\end{eqnarray*}


3.& 4.
仮想のつりあい系をつくり,仮想仕事を適用する.

上の例題より,不静定トラスに対して単位荷重法を適用するにあたっては, 計算が楽になるような仮想つりあい系を求めることが大切である ことがわかったと思う.そこで,その求め方の一つの``方針''を示そう.

ここで,不静定次数の求め方について述べておく. 既に習ったように,不静定次数は計算によって求めることが できるが,次のように直観的な求め方を知っておくのは重要であろう. 次のような不静定トラスを考える.もちろん,不静定次数は 1 が 正解である(Fig 1.46 ).
  
Figure 1.46: 元のトラス(安定)
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig3-06.ps}
\end{center}\end{figure}

まず,中央の部材を 1 本取ってみると, Fig 1.47 のようになるが,このトラスも安定である (もちろん,左右どちらかの部材を 1 本取ってもよい). 続いて,もう 1 本の部材を取ってみると, Fig 1.48 のようになって不安定となる.つまり,構造が安定であるためには 少なくとも 2 本の部材が必要であることがわかる(左右どちらかの 部材を取っても同じ).不静定次数とは,元のトラスの部材の 本数(3 本)から,ギリギリ安定なトラスの部材の本数(2 本) を引いた数である.つまり,元のトラスの不静定次数は 1 である.
  
Figure 1.47: 1 本取ったトラス(安定)
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig3-07.ps}
\end{center}\end{figure}


  
Figure 1.48: 2 本取ったトラス(不安定)
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig3-08.ps}
\end{center}\end{figure}

さて,例題を一つ示そう.

例題 15
Fig 1.49 のトラスの部材力を決定し, さらに点 A の x2 方向の変位を求めよ.
  
Figure 1.49: 断面積 A,Young率 E
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig3-09.ps}
\end{center}\end{figure}

1.
真の部材力を求める.上辺の部材力を不静定力 n とする (Fig 1.50 ).
  
Figure 1.50:
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=5cm
\epsffile{fig3-10.ps}
\end{center}\end{figure}

続いて,真の部材力に構成式を用いてのびを求める (Fig 1.51 ).
  
Figure 1.51:
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig3-11.ps}
\end{center}\end{figure}


\begin{eqnarray*}\delta_1 = \delta_2 = \frac{n \ell}{AE},\quad
\delta_3 = \delta...
...eft( n-P \right) \ell}{AE},\quad
\delta_6 = - \frac{2n \ell}{AE}
\end{eqnarray*}


一方,仮想のつりあい系をつくる(Fig 1.52 ).
  
Figure 1.52:
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig3-12.ps}
\end{center}\end{figure}

以上に仮想仕事を適用すれば,不静定力 n が求まる.

\begin{eqnarray*}\sum_i \mbox{\boldmath$F$ }_i^*\cdot\mbox{\boldmath$u$ }_i&=&\s...
...-\frac{2n\ell}{AE}\right\}}_{部材6}\\
∴\quad n &=& \frac{P}{2}
\end{eqnarray*}


2.
1.で求められた不静定力 n を用いて,真ののびを計算する.

\begin{eqnarray*}\delta_1 = \delta_2 = \frac{P\ell}{2AE},\quad
\delta_3 = \delta...
..._5 = \frac{\sqrt{2}P\ell}{AE},\quad
\delta_6 = -\frac{P\ell}{AE}
\end{eqnarray*}


3.
点 A に x2 方向へ大きさ 1 の単位荷重を与えた時の 仮想のつりあい系をつくる.このためには,上で述べた方針に従い, 部材を一本づつ取って静定なトラスをまず得てみよう. ここでは荷重点に関与している斜めの部材を取り除くのが よさそうである.この一本を取り除いて得られる静定トラス (もう一本取ると不安定!)のつりあい系をつくり, これを仮想のつりあい系とする.そのつりあい系とは, 左上の節点のつりあいから明らかなように, 左端の部材の部材力は 1 で,それ以外は 0 であるものである (除外した部材の部材力も 0 となるのであって,元のトラスと 別のトラスを扱っているわけではないことに注意されたい) (Fig 1.53 ).
  
Figure 1.53:
\begin{figure}
\begin{center}
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\epsfxsize=4cm
\epsffile{fig3-13.ps}
\end{center}\end{figure}

4.
1.で求めた適合系と,3.で求めたつりあい系に 仮想仕事の原理の原理を適用する.

\begin{eqnarray*}\sum_i \mbox{\boldmath$F$ }_i^*\cdot\mbox{\boldmath$u$ }_i&=&\s...
...*\delta_I \\
∴\quad u_2 &=& \frac{n\ell}{AE}=\frac{P\ell}{2AE}
\end{eqnarray*}



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Ken-ichi Yoshida
2001-04-18