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相反性定理の応用 -- Muller-Breslauの方法

相反性定理の応用として,Muller-Breslauの方法 による影響線の作成について説明する.ここで影響線とは, 「単位荷重が走行路上のある位置に作用する時の注目する 量 f (反力,部材力など)を荷重位置にプロットしたもの」である. ここで,走行線上に座標 x1 を取り,その上の隣り合った二つの節点 A,B を 考える.走行路の点A,Bの間の区間には AとBを両端とする単純はりが 渡されているものと考える.このとき,A と B の間の距離を $\ell$ とするとき, 位置 x1 における注目する量 f(x1) は,トラスの力学が線形なので,

\begin{eqnarray*}f(x_1)=f(\mbox{A})(1-\frac{x_1}{\ell})+f(\mbox{B})\frac{x_1}{\ell}
\end{eqnarray*}


と書ける.したがって,量 f の影響線は荷重が走行路上の 節点にある時の f を折れ線で結んだものである.

定理    Muller-Breslauの方法(支点反力の影響線の描き方) : 支点反力の影響線は,あるトラスが無荷重状態で反力を求めたい支点に 大きさ1の沈下を生じた時の走行路の形に等しい.
[証明]一般の場合は複雑になりすぎるので,例題において証明してみよう.

Fig 1.76 のトラスで単位荷重が中央の節点上にある場合を考える.

  
Figure 1.76: 系(1)および(2)
\begin{figure}
\begin{center}
\leavevmode
\epsfxsize=10cm
\epsffile{fig4-18.ps}
\end{center}\end{figure}

無荷重状態で支点を 1 だけ沈下させたトラスを系(1),中央節点 に単純荷重が作用したトラスを系(2)とする.定理の証明には 系(1)のトラスの中央の変位が系(2)のトラスの左支点の 反力であることを言えばよい.相反性定理

\begin{eqnarray*}\sum \mbox{\boldmath$F$ }^{(1)} \cdot \mbox{\boldmath$u$ }^{(2)...
...\sum \mbox{\boldmath$F$ }^{(2)} \cdot \mbox{\boldmath$u$ }^{(1)}
\end{eqnarray*}


において,系(1)は無荷重なので, $\mbox{\boldmath$F$ }^{(1)}=0$ である.したがって,

\begin{eqnarray*}0=\underbrace{-R\cdot 1}_{\mbox{左支点}}
+\underbrace{1\cdot u_2^{(1)}}_{\mbox{中点}}
+\underbrace{0}_{\mbox{右支点}}
\end{eqnarray*}


となる.ゆえに, R = u2(1)

を得る.
[証明終]
上の証明は静定,不静定の別にかかわらず成立する. 静定トラスの場合,反力の影響線は元のトラスを剛体的に 変位させたものになる.

例題 23
Fig 1.77 のA点の反力の影響線を求めよ.
  
Figure 1.77: 問題
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\epsfxsize=8cm
\epsffile{fig4-19.ps}
\end{center}\end{figure}

Fig 1.78 の通り.
  
Figure 1.78: 解答
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\epsfxsize=8cm
\epsffile{fig4-20.ps}
\end{center}\end{figure}

例題 24
Fig 1.79 のA点の反力を求めよ.同図の通り.
  
Figure 1.79: 反力の影響線を求めよ
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\epsfxsize=8cm
\epsffile{fig4-21.ps}
\end{center}\end{figure}

定理    Muller-Breslauの方法(部材力の影響線の描き方) : あるトラスの部材力の影響線は,同じトラスで考えている部材を 無荷重状態で1だけ伸ばした時の走行路のたわみ形状に等しい.
[証明]例証してみよう. 証明の前に,系(1)に初期のび $\delta_0^{(1)}$ がある場合, すなわち構成式が $\displaystyle\delta^{(1)}
=\frac{\ell N^{(1)}}{E^{(1)}A^{(1)}}+\delta_0^{(1)}$ である 場合の相反性定理を示す.このとき, $\displaystyle N^{(1)}=\frac{A^{(1)}E^{(1)}
(\delta^{(1)}-\delta_0^{(1)})}{\ell^{(1)}}$ と 書けるから,
 
$\displaystyle \sum_i\mbox{\boldmath$F$ }_i^{(1)}\cdot\mbox{\boldmath$u$ }_I^{(2)}$ = $\displaystyle \sum_I N_I^{(1)} \delta_I^{(2)}$  
  = $\displaystyle \sum_I \frac{A_I E_I}{\ell_I}
\left(\delta_I^{(1)}-\delta_{0I}^{(1)}\right)\delta_I^{(2)}$  
  = $\displaystyle \sum_I \left(\delta_I^{(1)}-\delta_{0I}^{(1)}\right)N_I^{(2)}$  
  = $\displaystyle \sum_I \delta_I^{(1)}N_I^{(2)}
-\sum_I \delta_{0I}^{(1)}N_I^{(2)}$  
  = $\displaystyle \sum_i \mbox{\boldmath$u$ }_i^{(1)}\cdot\mbox{\boldmath$F$ }_i^{(2)}
-\sum_I \delta_{0I}^{(1)} N_I^{(2)}$ (21)

を得る.さて,Fig 1.80 の系(1)および(2)について考える.
  
Figure 1.80: 系(1)と(2)
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\epsfxsize=10cm
\epsffile{fig4-22.ps}
\end{center}\end{figure}

いま,1だけ伸ばす部材を K とする.このとき式(21)より, 0=u2(1)-NK(2)

となる.ゆえに,系(1)の走行路中央部のたわみは, u2(1)=NK(2)

と求まる.したがって,求める部材力の影響線の概形はFig 1.80 左の ように u2(1) と端点を結んだ折れ線となる. 定量的に部材力を決定するためには,中央部に単位荷重が 作用している時の部材 K の部材力を計算すればよい. このように,トラスの部材力に関するMuller-Breslauの方法は 定量的に描くにはあまり実用的でないが, 計算の手間を省くには便利である.
[証明終]

反力の影響線の描き方について,普通の描き方 とMuller-Breslauの方法の手順を Fig 1.81 を例にとって比べると以下のようである.

  
Figure 1.81: 反力の影響線の描き方
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\epsfxsize=8cm
\epsffile{fig4-23.ps}
\end{center}\end{figure}


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Ken-ichi Yoshida
2001-04-18