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座屈後の安定性

ここでは,座屈が起こった後の構造物の安定性について具体的な例を使って 検証してみる.
次の構造物の座屈荷重を求めよ.また,座屈がおこったあとどうなるか.

\begin{figure}
\begin{center}
\leavevmode
\epsfxsize=3cm
\epsffile{fig11-06.ps}
\epsffile{fig11-07.ps}
\end{center}\end{figure}
つりあい式は

\begin{eqnarray*}0 = P\ell \sin\theta - k \theta
\end{eqnarray*}


上の方程式の解を考えると,$\theta=0$は明らかに解であり, $\theta \ne 0$の時は $P = \frac{k}{\ell} \frac{\theta}{\sin\theta}$となる. $P = \frac{k}{\ell} \frac{\theta}{\sin\theta}$をグラフに描くと 次のようになる.
\begin{figure}
\begin{center}
\leavevmode
\epsfxsize=6cm
\epsffile{fig10-910.ps}
\end{center}\end{figure}
上の図より次のことがわかる.

\begin{eqnarray*}&& P < \frac{k}{\ell} のとき 方程式の解は \theta = 0 のみ.\\
...
...} のとき 方程式の解は \theta = 0 以外に
2つ存在する(合計3つ).
\end{eqnarray*}


$P < \frac{k}{\ell}$ のときの復元力$k\theta$とモーメント $P\ell \sin
\theta$の関係は下の図のようになる.

\begin{figure}
\begin{center}
\leavevmode
\epsfxsize=6cm
\epsffile{fig10-911.ps}
\end{center}\end{figure}
この場合,$\theta=0$の近傍では,常に復元力が外力によるモーメントを上回り $\theta=0$より右にずれても左にずれても$\theta=0$に戻るので安定していると 言える.
$P > \frac{k}{\ell}$ のときの復元力$k\theta$と外力によるモーメント $P\ell \sin
\theta$の関係は下の図のようになる.(解を $\theta =
-\theta_c,0,\theta$とし,以下で使う $\varepsilon$は正の小さい数とする)

\begin{figure}
\begin{center}
\leavevmode
\epsfxsize=6cm
\epsffile{fig10-912.ps}
\end{center}\end{figure}
以上まとめると,

\begin{eqnarray*}&& P_{cr} = \frac{k}{\ell} \\
&& P < \frac{k}{\ell}\quad の時...
... \quad \theta = -\theta_c,
\theta_c は安定,\theta=0 は不安定
\end{eqnarray*}


この例が示すように,構造物の座屈荷重だけでは,座屈後の構造物の挙動 (どのような壊れ方をするか)を知ることは出来ない.よって,構造物の設計にお いてこのように座屈後の挙動について調べることは重要である.

Ken-ichi Yoshida
2001-04-18