現在実務においてトラスの計算を行なう時、手計算によることはまずない。計 算機を用いた構造解析には変位を未知数とした解析法、すなわち変位法が用い られるのが普通である。以下、線形弾性体のトラスについて、この方法を説明 する。
まず式(1.9)および(1.6)
( とする)より、幾何学的に許容な場に構成式を適用して求
めた部材力は
となる。これが静力学的に許容でなければならないから、(1.12)より
を得る。これを未知量 について解くのが変位法である。こ
れを解くことができれば変位に関する境界条件を考慮してベクトル
が決定され、(1.3)より部材ののびが、構成関係より部
材力が、そして(1.5)より節点力が求められる。式
(1.16)の左辺の係数行列は明らかに対称であり、
が正であ
るので、非負定値である。
に非自明解が存在するのは
に非自明解が存在する時に限るので、トラスが安定
(1.7参照)である限り行列
は正則とな
る。従って、安定なトラスでは(1.16)は可解である。