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仮想仕事の原理

 

以下では仮想仕事の原理について述べる。歴史的な経緯により「原理」という 表現を用いるが、実際は定理である。まず原理と、証明を述べる。

定理1(仮想仕事の原理) あるトラスの任意の釣合系 と任意の適合系 は次式を満たす。

 

(証明)(1.3)、(1.5)、及び以下の計算より明らか。

(証明終)

1.61.7節の記号を用いれ ば、仮想仕事の原理は次のようにも書ける。

仮想仕事の原理に現れる2つの系は互いに関連している必要はない。このことは 仮想仕事の原理が構成式に関係せず成り立つものであることを意味している。

仮想仕事の原理の直接的な系をいくつか述べるために次の定義を行なう。幾何 学的に許容な系のうち ((1.7)参照)を満たすもの を幾何学的に許容な斉次系と呼ぶ。同様に、静力学的に許容な系のう ち ((1.10)参照)を満たすものを静力学的に許容な斉 次系と呼ぶ。幾何学的に許容な斉次系とは、要するに支点変位がない幾何学的 に許容な場である。静力学的に許容な斉次系とは与えられた荷重が全て0の静 力学的に許容な系であり、従って、静定構造では のみとなる。次 の結果が成り立つ。

系1(仮想仕事の原理(狭義)) の元 は全ての 幾何学的に許容な斉次場 に対して

 

を満たすとする。ここに ((1.8)参照)。この時、 は静力学的に許容である。逆に、静力学的に許容な は任 意の幾何学的に許容な斉次場 に対して (1.20)をみたす。

(証明)前半を証明する。式(1.9)より、(1.20)は

と書けるが、 は任意なので、上式は(1.12)に他 ならない。従って、系の前半が示された。後半は(1.19)より 明らか。 (証明終)

系2(補仮想仕事の原理) の元 は全 ての静力学的に許容な斉次場 に対して

 

を満たすとする。ここに である ((1.13)参照)。この 時、(1.7)を満たす があって、 は 幾何学的に許容である。逆に、幾何学的に許容な は任意の静力学的に許容な斉次場 に対して (1.21)をみたす。

(証明)前半は、 式(1.9)を参照して、

について可解であることを示せば良い。つまり、 (1.17)を参照して、

 

が示されれば良い。しかし、(1.14) より、 は任意の不静定力 によって

と書けるので、結局(1.21)は

と書けるが、 は任意なので、上式は (1.22)に他ならない。従って、系の前半が示された。後半 は明らか。 (証明終)

以上より、狭義の仮想仕事の原理は釣合い式として、また、補仮想仕事の原理は 適合条件として用いられる。



N. Nishimura
Sat Jul 4 16:13:59 JST 1998