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多重極法は未知数の多い問題に有利な数値計算の手法のひとつとして、積分方 程式や、多体問題に関連してRokhlin[1]、 Greengard[2]らによって研究され、発達してきたものであり、 最近の積分方程式に関連する研究としては、速水ら[3]、福井ら [4,5]、西村ら[6]等がある。

従来の境界積分方程式法では n 個の要素に対して、それらの相互の影響を 計算する時に の計算量が必要となり、直接法によって代数方程式を 解くと の計算量が必要である。一方、多重極法では要素相互の影響 を計算する時に、近傍の要素に対しては直接計算を用いるが、離れた要素から の影響は多重極モーメント、展開係数などを用いて計算する。これを反復法に よる線形方程式の解法と結び付けると、反復一回あたりの計算量は に なる。このため、多重極法は大規模問題の解法として有望であると考えられる。

本論文は、3次元Laplace方程式のクラック問題を扱った前報[6]に引 続き、3次元無限領域における静弾性クラック問題への多重極法の拡張を試み、 その適用性を検証する事を目的としている。現在、3次元静弾性問題における 高速解法の研究としてはHayami & Sauter[7]のパネルクラスタリ ングに関するものが知られているが、多重極法の完全な定式化は著者の知る限 りまだ発表されていないgif。そこで本論文では、まず3次元静弾性問題におけ る多重極積分方程式法の定式化を検討し、基本解のGalerkin ベクトル表示に 基づいた解法を示す。次に、得られた定式化をクラック問題に適用する。クラッ クの積分方程式は超特異性を有するが、本論文ではその取扱として、正則化を 用いた方法と、用いない方法を試みる。前者は関連する全ての積分が解析的に 行なえるのが利点であり、後者は数値計算量が減少する特徴がある。数値解法 としては選点法、形状関数には区間一定要素を用いる。代数方程式の解法とし ては反復法のGMRES法(generalized minimal residual method)を用いている。 数値実験の結果、未知数が数千の問題では従来法より多重極法が高速であるこ と、モーメントの積分に解析積分を用いるよりも数値積分を用いた方が効率が よいことなどが結論される。



N. Nishimura
Thu Sep 10 18:18:20 JST 1998