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多重極展開と多重極モーメント

今、開口変位 が既知であるとする。この時クラック上 の点 x において式(4)の積分を評価することを考える。この際、 基本解が x において特異性を有することを考慮すれば、 点 x の近傍からの寄与は精密に評価されなければならないことが想 像されるが、x から離れた S の部分 からの 式(4)の積分への寄与は、ひとまとめにして評価しても良いものと考 えられる。従って、x から十分遠く、|Ox|>|Oy| であ るとして式(8)を使うと、式(4)の積分は次のように書ける。

 

ここに、は 多重極モーメントであり、以下のように表される。

  

次に、多重極モーメントを評価する際の原点を O から に移動した時の、多重極モーメントを変換する式を導出する( 図--1)。

 
図 1: 多重極モーメントの原点移動

式(7)と式(12)、式(13)より 次の多重極モーメントの原点移動の式が得られる。

  

次に多重極モーメントの具体的な計算方法について論ずる。本論文では、クラッ クを三角形の平面要素で離散化し、開口変位に区分一定要素を用いる。区分一 定要素を用いることにより、式(4)の面積分は次のように線積分に変 換することが出来る。

更に、クラックの部分 が平面要素 の集まりであるとすると、

  

となる。ここに、 での開口変位 j 成分 を意味する。ここで、留意すべきことは、 N 次斉次多項式で表される ということである。これ は定義からも得られるが、後述の の計算アルゴリズムから自明と なる。このことから、 に含まれている積分は次のように解析 的に計算することが出来る。平面 L 角形要素 が 頂点 ()を有していとすると( 図--2)、

 
図 2: 多重極モーメントの計算における線積分

式(7)、 式(16)より、 に含まれる積分は

 

となる。同様に、に含まれる積分は、式(17)より、

 

となる。 は各々の辺 での線積分の和を意味する。

なお、後で述べるように、実際の多重極法の運用においてはモーメント を厳密に計算することは必ずしも必要ではなく、式(16)や 式(17)の積分を数値積分によって評価する方が効率が良い場合もある。



N. Nishimura
Thu Sep 10 18:18:20 JST 1998