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従来,大規模問題には不向きと考えられてきた境界要素法は最近の 高速解法の進歩により,再び実用的な解法としての地位を回復しつつある. 特に,高速多重極法は,N 個の未知数を含む問題を O(N) のメモリ と $O(N^{1+\alpha}\log^{\beta} N)$ ( $0\le\alpha<1,0\le\beta$) 程度の 計算時間で解くことを可能にした.本論文では高速多重極法を用いて 3次元定常Stokes流の問題を解く解法を取り扱う. 特に,透水問題を取り上げ,非常に複雑な 境界形状を有する領域に対応可能な数値解法を開発する.

これまで発表されているStokes流に関する多重極法の研究のうち, 3次元問題を扱ったものとしてはSangani and Mo[1], Fu and Rodin[2]があるが(2次元の文献はFu and Rodin[2] を見られたい),前者[1]は特殊な場合を扱っており,後 者[2]は彼らの弾性問題における16個のモーメント(一重層に4個,二重 層に12個)を用いる定式化[3]をそのままStokes流問題に変更したも ので,数値結果は示されていない.

本論文では既開発の弾性問題における4個のモーメントを用いる定式化 [4,5]に基づき,Stokes流の多重極法を定式化する.多重極法 の諸式は基本的には弾性学におけるそれにおいて $\lambda \to \infty$ の極 限をとることによって得られるが,二重層の計算には若干の工夫を要 することが示される.得られた手法を解析解の知られている簡単な問題でテス トした後,応用問題として透水問題を取り扱った.前者では百万元を越えた問題 をdesk top パーソナルコンピュータ1台で解くことができた.



Toru Takahashi 平成12年6月25日