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Rokhlin[1]により積分方程式の解法として提案された多重極法は、その 後研究が進み、特にLaplace方程式や静弾性学の大型境界値問題の解法として は有効であることが認められている。しかし、複雑な問題においては多重極展 開の項数を多くとることが必要となり、多重極モーメントから局所展開係数を 求める操作(いわゆるM2L)に多大の計算時間が必要となる。この問題を解決す るためにいわゆるdiagonal formを用いた定式化が研究されている。diagonal formの研究はRokhlin[2]に端を発し、これまで主にHelmholtz方程式に関 連して研究されてきている。またChewら[3]も、異なった出発点から Rokhlinと基本的には同じ手法に到達している。これらの研究は多重極展開の 添字に関する有限Fourier変換を用いることによって、M2Lに含まれる convolution型の計算を単なる掛け算に置き換えようとする非常に巧妙なもの である。しかし、特に波数が小さい問題や、Laplace方程式においては非常に 大きく変動する数列のFFTをとることを要し[4]、有限桁の計算では逆変 換によって元の列を復元することはほとんど不可能である。このため、従来の diagonal formを用いた計算ではあらゆる場合に解析精度を保証することは困 難であった。この問題を解決すべくHrycak & Rokhlin[5] は2次元 Laplace方程式において、基本解の積分表示に基づく新しい多重極法を提案し た。またGreengard & Rokhlin[6]は、これを3次元に拡張した。さらに この方法は、Helmholtzの場合にも拡張できることが容易に示される[7]。 本論文はHrycak & Rokhlinの多重極法を選点法を用いたクラック問題の超特 異積分方程式の数値解法に適用し、その有用性を検証することを目的とする。



N. Nishimura
Tue Nov 30 16:38:10 JST 1999