next up previous
Next: 新しい多重極積分方程式法のアルゴリズム Up: 無題 Previous:

定式化

S の、自分自身と交わらない、一般には複数の部分から成る滑ら かな曲線とし、クラックと呼ぶ。クラック S の単位法線ベクトルを と書くと、考える問題は次のように定式化される。

  

ここに上つきの は各々 の向いている側(その反対)から S 上への極限を表し、 は全空間でのLaplace方程式の解、即ち、ク ラックがない時の解である。また、 は開口変位である。この問題の 解は次のように書かれる。

 

ここに G はLaplace方程式の基本解である。式(3)と境界条件 (2)より、次のクラック上での超特異積分方程式が得られる。

 

上式を について解き、それを(3)に代入すれば求め る境界値問題の解が決定される。

さて、解表現(3)に含まれる2重層potentialの積分範囲を S の部分集合 としたものを W と書く。 さらに、簡単のため開口変位 に区分一定近似を用いて離散化する。この時、W の微分 D は 複素変数を用いて次の様に書かれる。

 

ここに、zx に対応する複素数であり、 上の 離散化された の不連続点(すなわち要素境界)、および での の不連続量である。 上式に対応する多重極展開は

 

である。ここに、 z から十分離れていると仮定した。また に含まれる要素 I での の値、 は要素 I の両端での の値であり、 は 多重極モーメントである。さらに上式を点 の回りに局所展開すると

 

を得る。ここに、 である。

従来型のdiagonal formでは式(7)を n に関するconvolutionと捉え、 を係数とする有限Fourier変換を考える。とこ ろが、後者は明らかに発散列であり、 の有限Fourier変換は、n が大き いとき が非常に小さくなるので、これをFFT、IFFTに通したとき、 桁落ちのため、大きな n に対する が精度良く復元されな い。 が空間のスケーリングに対して n 次であることを用いて、 の大きさを均一化することも考えられるが、その場合、小さい n に 対してはスケーリングパラメータを1に近く、大きい n に対しては n に 近くとることを要し、すべての n にわたって良好に機能するスケーリング を行うことは困難であることがわかる。

一方、Hrycak & Rokhlin[5] によれば、、および、 を満たす複素数 zc に対して、

 

を満たす正の実数 ()が 存在する。また、彼らは実際に種々の精度に対して、 上記を満たす を求めている。 式(5)、(8)より、上記の条件を満たす zc に対して次式を得る。

 

ここに は指数展開の係数 と呼ばれ、

 

と定義される。式(9)右辺を 回りで展開すると、

 

となる。ここに は局所展開の係数であり、

  

によって計算される。式(12)は指数展開から局所展開への変換公式であり、 (13)は指数展開の係数の移動公式である。

Hrycak & Rokhlin の多重極法では、従来の多重極法のM2Lに相当するものは (13)である。この式はconvolution型の和を含んでおらず、 diagonal formとなっていることがわかる。



N. Nishimura
Tue Nov 30 16:38:10 JST 1999