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定式化

S の、自分自身と交わらない、滑らかな、縁 を有 する曲面とし、クラックと呼ぶ。クラック S の単位法線ベクトルを と書くと、考える問題は次のように定式化される。

  

ここに上つきの は各々 の向いている側(その反対)から S 上への極限を表し、 は全空間でのLaplace方程式の解、即ち、ク ラックがない時の解である。また、 は開口変位である。この問題の 解は次のように書かれる。

 

ここに G はLaplace方程式の基本解である。式(3)と境界条件 (2)より、次のクラック上での超特異積分方程式が得られる。

 

上式を について解き、それを(3)に代入すれば求め る境界値問題の解が決定される。

さて、基本解に関連して、 であるとき、次の等式が成り立つ。

 

ここに、 は、原点 O から見た点 の極座標を とすると、

 

と書ける調和関数であり、 はLegendre 陪関数である。 は、 実は直交直線座標 の多項式であることに注意する。さらに一般に

  

が成立する。これらの関係は本質的にGreengardの3つの定理と同一であるが、 ここに示した形の方が簡単である。 なお、Eptonらも同様な結果を導いている[8]。

今、S の部分 に対して(4)に含まれる積分を(5)を 用いて評価すると、

 

を得る。ただし、 から十分遠く、 が成り立つものとする。ここに、 O を原点とする多重極モーメントで、

 

と計算される。ここに は交代記号である。式(9) はクラック問題の積分方程式における多重極展開公式である。

多重極モーメントの評価における原点を O から へ移動する場合、対 応する多重極モーメントの変換式は(10)及び(8)より、次式 のようになる。

 

更に多重極展開公式(9)を評価するに当たって、ある点 の近傍の に対しては

 

が成り立つ。ここに

 

であり、 が成り立つものとする。展開係数 についても展 開中心 に移動すると

 

を得る。

特に S の部分 が平面要素 の合併であるとき、 に 区分一定要素を導入すると、多重極モーメントは

 

と計算される。ここに、 は、要素 上の の値で あり、積分の向きは 方向に右ねじを回す方向である。更に が 頂点 を有する多角形であるとき、上式に含まれ る積分は

()と解析的に評価できる。 以上で、Laplace 方程式の3次元クラック問題における多重極積分方程式法を 定式化するための道具が全て揃ったことになる。



N. Nishimura
Mon Feb 23 18:28:07 JST 1998