改良型円錐孔底応力解放法の特性を検証するために、多重極積分方程式による
シミュレーション解析を行なった。簡単のために、単位の弾性係数、ポアッソン比
の弾性地盤が、単位の初期応力状態にあるものとする。このような地盤に、
ボーリングにより円錐孔底を形成・整形し、さらにその先端に細径の探査孔を穿ったもの
(探査細孔付き円錐孔底、漏斗状孔底)の円錐壁面の所定の位置にひずみゲージを張り付けた
状態を初期状態とする。この円錐孔底を同径でオーバーコアする過程を模擬し、
オーバーコアの進展に伴う解放ひずみの変化をモニターするものとしよう。
初期応力状態でのモデルの寸法および
境界要素モデル(13824自由度)の側面図をFig.2に示す。
また、Fig.3(a)には円錐孔底部(
[mm]の部分)付近の
境界要素モデルを鳥観図で示す。ここで、
実際のボアホールの全長は数十メートルにも及ぶが、ひずみゲージを張り付ける円錐孔底部から
十分離れた部分の影響は小さいので、円錐孔底部からボアホール入口側への
ボアホールの長さは500[mm]までを考慮した。また、剛体変位と剛体回転をしないように、
[mm]の部分は空間に固定した(変位
とした)。
また、オーバーコアリングは
[mm]から長さ73[mm]まで
行なうものとし、
[mm]進めるごとにひずみを算出した。
この過程において用いた、境界要素モデルの円錐孔底部付近の様子を、
例として
、
、
[mm]の場合についてFig.3(b)--(d)に示す。
ここで、最終的な境界要素モデルの自由度は48384であった。
また、ひずみの計測点の位置は、
円錐孔底部の中央断面内(
[mm])とし、
Fig.4のように
おきに6点(12成分)をとった。
多重極積分方程式による解析の設定としては、無限和は10項で打ち切り、 一つのcellに含まれる境界要素の最大数は200とした。
応力場としては、単位応力
と
が作用している二例を示した。それぞれの場合に得られた、オーバーコアリング長さLに対する
解放ひずみを、それぞれFig.5とFig.6に示す。
これらの図には、オーバーコアに伴う解放ひずみの変化がはっきりと示されており、 また対称性などもよく出ているので、これらのシミュレーション結果は妥当なものと 判断される。なお、この幾何学的形状では、オーバーコアが孔径の7割程度進展すると、 解放ひずみはほぼ一定になるようである。この結果は、この方法を適用する場合には、 少なくとも孔径程度オーバーコアできれば十分信頼できるデータが得られることを 示している。したがって、探査細孔の長さは30[mm]程度以上であれば十分であろう。