next up previous
Next: 定 式 化 Up: 2次元時間域動弾性問題に対する高速境界積分方程式法 Fast Boundary Integral Previous: abstruct

緒 言

積分方程式法(境界要素法)は,その高速解法の研究の進展によって, 大規模問題に対する有力な解法として再認識されようとしている[1]. しかし現時点では残された課題も多く, その一つとして,時間変数を含む問題に対する高速解法の研究が挙げられる. 中でも波動問題は積分方程式法による解析が特に有効であり[2], その高速解法を開発する事は有意義である.これまで, Ergin,Luらがスカラー波動問題[3][4][5][6] についてその高速化を達成しており,最近では電磁気学への拡張も 試みている[7].ところが,工学的にも重要な時間域動弾性波動問題を 扱った研究例は見当たらない.そこで本研究は手始めにその2次元問題に 対する積分方程式法の高速化を目的とする.

高速解法の構成にあたってはLuら[5]の構成法を弾性問題に拡張する. 彼らは基本解の平面波展開と対象とする時空間の階層構造を利用して, 層ポテンシャルの高速算法を考案した. これを Plane Wave Time Domain (PWTD) アルゴリズムと呼ぶ. そして彼らは,PWTDアルゴリズムと離散方程式の反復解法を 組み合わせる事によってスカラー波動方程式の 高速解法を構成した.この解法を空間と時間の自由度が それぞれ NsNt である問題に適用すると, 求解に至るまでにその計算量は2次元問題の場合 $O(N_s \log N_s N_t^2 )$ となり, これは従来法の計算量 O(Ns2 Nt2) と比較すると 極めて有利であると言える.この性質は本論文で 構成する解法にも当てはまる.

本論文では,2節で動弾性問題の基本解の 平面波展開を誘導し,それを用いた層ポテンシャルの算法 について述べる.これと反復解法を結合して得られる高速解法の 手順を3節で述べる.4節で数値解析例を挙げて 本手法の有効性を確認し,5節で結論を述べる.


Toru Takahashi
2001-07-18